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花火と疫病の深い関係~なぜコロナ禍で花火が打ち上がるのか~

おーわ
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花火系散歩屋のおーわ(@mof_mof08)です。

2020年初頭より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に流行し、日本国内においても全国各地でイベントの中止が相次ぎました。

そんな最中、2020年6月1日には「全国一斉悪疫退散祈願Cheer up!花火プロジェクト」を皮切りに、全国各地でサプライズ花火の打ち上げが行われました。

なぜ、こうも疫病が蔓延しているときに花火が…と思われる方が、僕の他に3名ほどいらっしゃるかと思います。

本記事では疫病が流行った際に花火の打ち上げが行われる理由について、歴史的な背景を踏まえながらざっくり解説していきます。

花火と疫病の歴史

疫病退散を祈願して花火が打ち上げられたのは1733年5月28日(旧暦)に行われた両国川開き(現在の隅田川花火大会の前身)が最初だとされています。

1732年に西日本一帯でイナゴの大群が発生するなどで全国的な凶作に陥り大飢饉(享保の大飢饉)が起こったのに加え、疫病の流行によっても多くの死者が出ました。

その犠牲者に対する慰霊と悪疫退散を祈って隅田川で「水神祭」が開催されたのですが、その際に両国橋周辺の料理屋(茶屋)が許可を得て花火を打ち上げました。(通称「茶屋花火」とも呼ばれています)

日本における疫病と花火の関係は遡ること江戸時代の中期から続く、大変に歴史のある行事ということになります。

>> 大会について|隅田川花火大会 公式Webサイト

こうした経緯から、5月28日は「花火の日」と制定されています。

>> 「花火の日」は年3日もあった!それぞれの由来は?

疫病退散を祈念した花火

先述で紹介した両国川開き(現在の隅田川花火大会)のように疫病と花火の関係は古くから存在していましたが、他にも悪疫退散を祈念した花火があります。

お盆の花火

お盆の時期に打ち上げられる花火には疫病退散と密接な関係があります。

お盆とは夏季に行われる祖先の霊を祀る日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事で、ご先祖様を迎えたり送り出したりする際の目印として迎え火、送り火、盆提灯といった灯火(明かり)が施されます。

特に送り火には疫病除けの意味合いも含まれていて、地域によっては送り火として花火を打ち上げところもあります。

>> 花火とお盆のステキな関係|福聚山 本経寺|日蓮宗 寺院ページ

日本国内において花火大会が夏(おおむね7~8月)に多いのは、ご先祖の供養として花火を打ち上げるという意味合いを持つのが大きな理由だと思われます。

全国一斉悪疫退散祈願Cheer up!花火プロジェクト

2020年初頭からSARS-CoV2というウイルスの蔓延をきっかけに世界中で流行しているCOVID-19(いわゆる新型コロナウイルス)の悪疫退散を祈念すべく立ち上がったプロジェクト。

悪疫退散を祈願し、花火を見上げて“笑顔”になってもらう」「全国の人たちに希望と元気を届けたい」という想いがきっかけで立ち上がった全国の煙火店さんによるプロジェクトで、最終的に総勢163社以上の煙火店さんが参加する一大プロジェクトとなりました。

具体的な取り組みとして医療従事者への感謝を込めた花火や、病を除けることで知られる「アマビエ」を模した花火などの打ち上げが全国各地で行われています。

政府による緊急事態宣言が解除されたのを機に、全国一斉悪疫退散祈願花火の打ち上げが2020年6月1日の20:00に行われました。(密集を避ける観点から打ち上げ場所については非公開で行われました)

>> 全国一斉悪疫退散祈願「CHEER UP!花火」プロジェクト

まとめ

本記事では花火と疫病の関係と歴史についてざっくりと紹介してまいりました。

その歴史は非常に古く、江戸時代中期の両国川開き(現在の隅田川花火大会の前身)で開催された「水神祭」にまで遡ります。

直近では2020年初頭から流行しているCOVID-19(新型コロナウイルス)の悪疫退散を祈念した花火打ち上げプロジェクトが行われるなど、現代においても花火と疫病の関係は存在します。

花火には夏の風物詩やお祭りのフィナーレといった意味合いだけでなく、古くは悪疫退散を祈念する意味合いでも打ち上げられてきた歴史があるんだなということを頭の片隅に置いといていただければ幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m

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おーわ
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花火系散歩屋
花火系散歩屋。関東地方を中心に年間20〜50回の花火を観覧・撮影しながら、各種メディア(SNS、ブログ)を通じて花火の様子をお届けしています。
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