おはこんばんちは、おーわ(@mof_mof08)です。
女子カメラとしておなじみのミラーレス一眼カメラことOLYMPUS PENシリーズ。
そのコンパクトさゆえ専らスナップ写真やテーブルフォトに用いられがちですが、実は花火も綺麗に撮影できちゃうんです。
しかし、実際にPENシリーズを使って撮影するにあたって適したレンズや三脚といった周辺機材、カメラの設定方法がイマイチよく分からないという方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回はPENシリーズを使って花火を撮るために必要な機材や設定についてまとめてみました。
OLYMPUS PENで花火を撮る準備
OLYMPUS PENシリーズの一眼カメラを使って花火の撮影を行うためには、別途以下の機材が必要になります。(2018.07.29 NDフィルターを新たに追加)
- 交換レンズ
- 三脚
- レリーズ
- NDフィルター
今回紹介するPENシリーズはすべての機種でバルブ撮影に対応していますので、花火撮影を行うことができます。
PENシリーズのうちE-PL1についてはケーブルおよびワイヤレスレリーズに対応していないため、花火写真の撮影には不向きです。
交換レンズ
「焦点距離や開放F値は?花火写真の撮影にはどんな交換レンズがおすすめか」という記事で触れているように、個人的には以下の条件を満たすレンズがおすすめです。
- 種類:ズームレンズ
- 開放絞り:F4.0程度
- 焦点距離:撮影シーンによって異なる
- フィルターの装着が可能
花火写真の撮影そのものはズームレンズ、単焦点レンズどちらでもできますが、必ずしも希望の立ち位置が得られるとは限らないためズームレンズの利用がおすすめです。
メイン会場内で撮影する場合はM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6のような超広角域をカバーできるズームレンズがおすすめです。
一方で花火からある程度離れた位置から撮影する場合はM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mmF4.0-5.6II EZ-M14150F4.0-5.6IIといった標準~望遠域をカバーできるズームレンズあたりがよろしいかなと思います。
PENシリーズの場合、本体が小型なことからM.ZUIKO PROシリーズよりはM.ZUIKOシリーズがバランス的におすすめです。
三脚
花火は長時間露光による撮影となるため、あらかじめ三脚の準備をしておきましょう。
PENシリーズはカメラ本体とレンズを合わせても小型・軽量なため、耐荷重は1.5〜2kgあれば十分です。
立った状態かつアイレベルでの撮影をするのであれば、それなりに高さのあるものをおすすめします。
※花火写真の撮影で使う三脚の選び方については以下の記事も参考にしてみてください
https://www.hanavigate.com/choose-tripod-for-shooting-fireworks/
レリーズ(リモートケーブル)
レリーズも忘れずに用意しておきましょう。
「花火写真の撮り方講座〜第1回 撮影の準備〜」でも紹介しているように、花火写真は長時間露光となることからカメラ本体のシャッターボタンを押すと手振れが起きる可能性が高くなります。
レリーズを用いることでカメラ本体のシャッターボタンを直接操作せずともシャッターを切ることができるようになるため、ブレを大幅に低減することができるようになります。
PENシリーズの多くはRM-UC1というケーブルレリーズに対応していますので、併せて用意しておきましょう。
RM-UC1はちょっとお高いなーという方は、互換性のあるサードパーティー製のケーブルレリーズもいくつか用意されていますので、そちらを使うのも手です。(参考までに僕はPEN Lite E-PL7とKenko リモート90Lの組み合わせで使っていました)
E-PL9以降のカメラについてはケーブルレリーズに対応していません。(スマートフォン向けアプリ「OLYMPUS Image Share」経由での操作は可能)
なお、E-PL1およびE-PL1sについてはレリーズ全般に対応していません。
NDフィルター
花火は非常に明るい被写体のため、白飛びを防ぐためにもNDフィルターはあらかじめ用意しておくことをおすすめします。
さらに、PEN Liteはイメージセンサーが小さい(マイクロフォーサーズ)ため、絞りすぎると回折現象(小絞りボケ)による画質低下が起こってしまいます。
回折現象を防ぐためにもND8フィルターあたりの併用が個人的には推奨です。
※花火撮影時におけるNDフィルターの必要性はこちらを参照してみてください
https://www.hanavigate.com/choise-fireworks-photography-nd-filter/
カメラの設定
本記事において、各種設定についてはOLYMPUS PEN Lite E-PL7をベースに紹介していきます(他の機種ではボタン配置などが一部異なる場合がございます)
続いてはPEN Liteで花火を撮影するためにカメラの設定を行います。ざっくり書くとこんな感じ。
- 撮影モード:Mモード
- シャッター速度:Bulb
- 絞り:F8~11を目安に調整(※NDフィルター使用時はF5.6~8程度)
- ISO感度:200
- ピクチャーモード:Natural
- ホワイトバランス:CWB(3500K前後を目安に調整)
- フォーカス:マニュアルフォーカス(MF)
ううむ、なんか設定項目多いし難しそう…ですが、ご安心を!
以下で図を交えながら設定方法を紹介していきます。
この他、必須ではありませんが、可能であればRAW形式での撮影をおすすめします。
特に花火とその他の被写体(花火会場や夜景など)を合わせて撮影する場合、両者の明暗差が大きいので、撮影後に露出量やハイライト・シャドーなどの調整が必要になります。
撮影モード
OLYMPUS PENシリーズで花火を撮影するには、撮影モードをM(マニュアル)モードに設定します。
「花火写真の撮り方講座〜第2回 カメラの設定〜」でも解説していますが、花火撮影においてはシャッタースピードをバルブ(Bulb)という特殊な値に設定する必要があります。
OLYMPUSの一眼カメラではシャッター速度をバルブに設定できるのはMモードのみとなるため、花火撮影時には必然的にMモードを使用することになります。
Mモードへの設定は、本体上部にあるモードダイヤルを回して「M」に合わせます。

シャッタースピード
続いてはシャッター速度をバルブ(Bulb)に変更します。
「花火写真の撮り方講座〜第2回 カメラの設定〜」でも触れていますが、花火は打ち上がってから消えるまでのタイミングが一発ずつ異なるため、シャッタースピードの決め打ちは困難です。
シャッター速度をバルブに設定にすることで、撮影者側でコントロールすることができます。
PENシリーズにおいてシャッター速度をバルブに変更する方法は以下のとおりです。(Mモード変更後の手順)
- 本体背面の[露出補正]ボタンを押下します
- 十字キーの上下ボタンを操作し、シャッター速度を「Bulb」に設定します



なお、シャッター速度をバルブに設定すると、手振れ補正も同時にOFFになります。
絞り(F値)
花火は非常に明るいため、光の入る量を絞って(F値を大きくして)の撮影となります。まずはF8〜11程度を目安に設定するのがおすすめです。
クライマックスなどに打ち上がる明るい花火はこれより絞ると撮影しやすいですが、絞りすぎによる回折現象(小絞りボケ)で画質の低下を招く可能性があります。特にPEN Liteのようにセンサーサイズが小さめのカメラの場合はF8程度でも回折現象の影響が出てきてしまいます。
この回折現象についてはNDフィルター(減光フィルター)を併用することで、ある程度回避することができます。回折現象の影響がF8.0程度でも出てくるフォーサーズ機ではND8フィルターの利用が非常におすすめです。
なお、ND8フィルターを併用する場合はF5.6~8程度で調整していきましょう。
絞りを調整する方法は以下のとおりです。(Mモード変更後の手順)
- 本体背面の[露出補正]ボタンを押下
- 十字キーの左右ボタンを操作し、絞り(F値)をF9~11程度に調整



ISO感度
花火写真では長時間露光による白トビを防ぐ&三脚に固定して撮影するため、ISO感度は設定可能な最低値(PEN LiteではLow)に変更します。
ISO感度を変更する方法は以下のとおりです。
- 本体背面の[OK]ボタンを押下し、ライブコントロールを表示
- 上下ボタンでISOを選択します
- 左右ボタンで「200」になるように調整します


PEN Liteでは拡張感度としてLOW(ISO100)に設定することも可能ですが、画質に影響するために使用は控えることをおすすめします。
拡張感度について詳しくは「デジタルカメラにおける3つのISO感度(基準、常用、拡張)の違い」を参考にしてみてください。
ピクチャーモード
花火写真における全体のコントラストや彩度、シャープネスなどを決めるための設定で、PENシリーズはもともとコントラストの高い写真になりやすいので、NaturalもしくはFlatがおすすめです。
ピクチャーモードを変更する方法は以下のとおりです。
- 本体背面の[OK]ボタンを押下し、ライブコントロールを表示
- 上下ボタンでピクチャーモードを選択
- 左右ボタンで「Natural」もしくは「Flat」を選択


ホワイトバランス
花火写真でもっとも悩ましいのがホワイトバランス(WB)。
花火は様々な色の光が複雑に混ざり合うため、残念ながら「これが最適!」という設定が花火毎に異なります。
バラツキはありますが、寒色系(プリセットから選ぶ場合は蛍光灯or電球、色温度を指定する場合は3500K前後)に設定すると、自然な色合いに近くなります。
ちなみにWBを「オート」にして撮影すると、全体的に赤みがかった写真になるためあまりおすすめしません。(撮影後にRAW現像をする場合はこの限りではない)
WBを変更する方法は以下のとおりです。
- 本体背面の[OK]ボタンを押下し、ライブコントロールを表示
- 上下ボタンでホワイトバランスを選択
- プリセットもしくはカスタムホワイトバランス(色温度指定)を指定


なお、ホワイトバランスについてですが、プリセットから選ぶ場合のおすすめは以下の2つです。
- 蛍光灯(4000K相当)
- 電球(3000K相当)
蛍光灯は赤寄りに、電球は青寄りに仕上がる傾向が強いです。したがって、カスタムホワイトバランス(CWB)で色温度を指定するのがおすすめ。CWBで設定する場合は3500K程度を目安に調整すると、実際に目で見たときの色合いに近くなります。
個人的にはRAW形式で撮影し、花火ごとにホワイトバランスを調整するのがおすすめです。
https://www.hanavigate.com/fireworks-shooting-technique04/
ピント合わせとAF方式
そして最後はピント合わせとAF方式の設定。ポイントは次の2点です。
- 花火が打ち上がる前にあらかじめピントを合わせる
- AF方式をマニュアルフォーカス(MF)に変更する
ピントは花火が打ち上がる場所付近をターゲットに合わせていきます。筒場が見える場合はそれに合わせると良いですね。
MFでのピント合わせはなんだか難しいなーという方は、明るいうちにオートフォーカス(AF)を使って合わせてしまうのも一つの手です。
AF方式をMFへ変更する方法は次のとおりです。
- 本体背面の[OK]ボタンを押下し、ライブコントロールを表示
- 上下ボタンでAF方式を選択
- 左右ボタンで「MF」を選択します


なお、AFでピントを合わせた場合、花火が打ち上がるたびにAFが作動しないようMFに固定するのを忘れないようにしましょう。(手順は先述参照)
実際に撮ってみよう
必要な機材とカメラの設定が整ったら、いよいよ花火撮影です。花火写真の基本的な撮り方はおおむね次の通りです。
- 打ち上がりのタイミングでシャッターを開く
- 花火が消えたところでシャッターを閉じる
詳しく書くと長くなってしまうので、花火の撮り方講座の第3回記事でまとめていますので参考にしてみてください。
https://www.hanavigate.com/fireworks-shooting-technique03/
PENシリーズで撮影した花火写真の作例
ところで、PEN Liteシリーズのカメラを使うとどんな花火写真が撮れるのか気になるところ…ということで、実際にPEN Liteで撮影した花火写真を作例としていくつか紹介いたします。
本記事で紹介している作例はAdobe Photoshop Lightroomにてレタッチ後の作品となります。


変わり種ですが、花火を副題にした写真も面白いです。(主題と副題に大きな明暗差が生じやすいため、RAW現像による調整がほぼ必須)

まとめ
本記事ではOLYMPUS PENシリーズで花火を撮るために必要な機材および設定方法を紹介いたしました。
ここで改めて、ポイントを整理しておきます。
機材準備
- カメラとレンズの他に三脚とレリーズが必要
- レンズは標準ズームレンズがあれば十分撮れる(PROシリーズの高価なレンズであればより解像する)
- 写真の白飛び&回折現象を防ぐためにNDフィルターも(ND8あたりを推奨)
カメラの設定
- 撮影モードはMモード
- シャッター速度はバルブ(Bulb)
- 絞り(F値)はF8~11(ND8フィルター併用時はF5.6~8)を目安に調整、絞りすぎによる回折現象(画質低下)に注意
- ISO感度は200を推奨(Lowは拡張感度のため画質低下を招く)
- ピクチャーモードは「Natural」もしくは「Flat」がおすすめ
- ホワイトバランスはRAW現像での調整がおすすめ、JPEG撮って出しの場合は寒色系を選ぶ
- AF方式はMFに設定(ピント合わせは明るいうちにAFで合わせるか、もしくはMFで合わせる)
スナップ撮影やテーブルフォトも楽しいですが、ぜひ素敵な花火をながめながら、PEN Liteシリーズを使って最高の一枚を撮ってみてください。
最後までご覧いただき、ありがとうございますm(__)m